【子宝温泉 円空の湯】リニューアルした郡上美並の温泉 初日オープンに行ってきました

2024年9月29日「日本真ん中温泉 子宝の湯」が閉業してから約一年。指定管理業者から民間の経営にかわり2025年12月6日「子宝温泉 円空の湯」としてリニューアルオープンしました。

かつての子宝の湯の時から駅直結で入館できる珍しい温浴施設でした。私は旧子宝温泉に行ったことがないので比較はできませんが、今回はオープン初日に行ってきた記録を残しておきます。

せっかくなので鉄道駅直結の体験をするべく、久しぶりに長良川鉄道で出かけました。ほとんどの駅が無人のワンマン電車なので、事前にホームぺージ等で乗降車の仕方を確認しておくと安心です。

円空の湯

10時のオープンに合わせて入館したかったのですが、長良川鉄道の運行ダイヤの都合で1時間近く早い到着。周辺を散策しようにも観光施設やカフェなどの飲食店もほとんどありません。

まだオープン準備でスタッフたちが忙しく動いていました。

長良川鉄道で訪れた人は私を含めて3組だけでしたが、オープニングセレモニーに合わせて車で来た人たちが集まってきます。

円空の湯のコンセプトは「水と木と食と。浄化する温浴施設」

サウナは来春からなので、今日は温泉と食事を楽しみにきています。

山伏神楽

新規出店やリニューアルの定番儀式といえばテープカットですが、代表の意向で山伏神楽を舞うオープニングセレモニーとなりました。

修験道を背景に持つ「山伏」が伝えた神楽のひとつで、獅子頭を神様の依り代として扱い、それを舞で現して神聖な力を借りる儀礼です。まさに修験僧である円空さんをモチーフにした粋なはからいですね。

円空の湯の施設の安寧と繁栄を祈るような、新しい始まりを感じる時間でした。

小さな子どもが長尺のセリフを覚えて腹から声を出して素晴らしいなとただ感心して見ていました。老若男女+外国人もいたのは、あえての多様性を意識した配役だったのかな。

円空さんについて

「日に増て己が心の清ければ、空なる月も身も円なる」

円空の言葉のように、ヒノキ香る木の湯で禊をし、サウナで祓い、健康重視の食事で身体全体を浄化します。

未だ謎も多い人物ですが、美並町との関連があることからもその名をあやかり、株式会社ENKUUUによる円空の湯と名付けられています。

館内の休憩所には円空に関する資料本が数冊置かれていたので、興味がある人はパラパラと読んでみると面白いです。

温泉 円空の湯

フロントで靴箱の鍵と精算バンドを交換して、退館時に利用料や飲食代をまとめて支払う後払い方式です。

オープン初日なので仕方ないですが、受付や会計にはだいぶ手間取っています。帰りの電車5分前に並んだら間に合わずに、次の電車(1時間半後)まで見送ることになってしまいました…。

1日100人限定のくじ引き。事前情報もなかったような気がするので、サプライズな楽しみで嬉しかったです。

5等のソフトクリーム無料券が当たりました。

温泉は内湯が1つ、露天が2つで旧子宝温泉と同じレイアウトだと思われます。

特に内湯はヒノキの香りが強く、森の中の湯浴みというイメージがぴったりです。露天のぬる湯のヒノキは外だからかあまり香りがしませんでした。もう一つは石風呂になっていて、お風呂の種類は少ないけど広いのでゆったりつかれます。

一応サウナもあったのですが4～5人が定員のせまくて温度も低い、サウナ好きにとってはものたりないと思われます。リニューアルするサウナに期待したいですね。

食房 oṃ(おん)

食で身体と心を浄化する発酵と韓方の知を活かした、韓国料理をベースとしたメニュー展開です。

ランチは日替わり、石窯ビビンバ、タッカンマリ(数量限定)だったので、ポスターのメインイメージにも使われていたタッカンマリを選びました。

タッカンマリは鶏を煮込むシンプルな韓国の鍋料理です。

ごろっと丸ごと鶏肉が入っています。好みで塩加減を調整して、ポン酢や薬味につけて食べました。水炊きのようなあっさりした味なので、たれはたっぷりつけて食べると美味しかったです。

底にはトッポッキが入っています。

+170円でごはんをキンパに変更できました。全部食べると結構なボリュームだったので、コスパは良い気がします。

思い出しました。今日は交通機関で出かけているので昼からビールが飲めます。岐阜に住んでいると車なしでは生活できないので、こんな日は滅多にありませんよ。

ピリ辛系メニューはサウナ飯としても相性が良いですよね。ただし本当に辛いものは一部で、ほとんどは辛いものが食べられない人でも食べられるような味になっているそうです。

休憩処とショップ

爽やかな円空の湯ロゴのれんをくぐると休憩処があります。畳で休むスペースがメインで、奥にカウンターとチェアがあるだけなので開放的です。窓からの景色も綺麗。

多くの温泉や岩盤浴の休憩処にあるビーズクッションはへたっているので、これは先のことを考えるとちょっと残念かも。

マッサージチェアは16分で200円と割安な設定でした。

お土産売り場には岐阜産・郡上産のものが並んでいます。

地域の加工品や地産野菜も買えます。野菜の色が濃くてめちゃくちゃ美味しそうなものばかり。

サウナ 歓喜(かんぎ)

自然と一体になる、祈りと浄化のサウナ。

来年の春、4月にオープン予定です。ホームページの情報を見ると「長良川を一望するタワーサウナ」と「完全予約制」であることが分かります。

私はスーパー銭湯のような大型サウナを増設するイメージでしたが、予約制ならプライベートサウナのような運用になりそうですね。

名古屋の有名サウナ「KIWAMI SAUNA」が監修しているので期待して待ちます。

温泉継続のハードルはめっちゃ高い

円空さんがこの地で心と身体を研ぎ澄ませたように、訪れる人たちのエネルギーがととのう場所でありたいと願いが込められています。

コンセプトと世界観が作りこまれており、円空の湯が主張する目的と私が実際に訪れて感じた雰囲気はかなりマッチしていました。

それでもどうしても近年の他の温浴施設と比較すると施設全体が狭いですし、周辺観光施設など乏しいことがネックに感じます。

温浴施設はよほど充実した設備が整っていないと、あくまでも疲れを癒す場所、ついでに寄る場所になりがちだと思います。まだオープン初日なのでこれからの発展やサウナのオープン後に、円空の湯を目的に遠くからも来る人が増えるといいですね。

もともと子宝の湯は郡上美並でも唯一となる観光施設で、市が運営して多い時に10万人の集客がありました。コロナの影響、燃料や物価高のあおりを受け休止、さらに近隣の大型浴場ホテル郡上八幡が閉館したのもあって、地域に衰退の気配が漂い始めます。

そこで地域の熱い有志(美並町在住の経営者)6名で立ち上げたのが株式会社ENKUUUによる円空の湯です。非常に経営ハードルが高いとされてもなおプロジェクトを遂行していきました。

結果的にクラウドファンディングで850人以上から1,300万円以上の支援を集めてオープン前から多くの期待が向けられています。

有限会社EAT&LIVE代表

水口晶

鵜飼不動産代表

鵜飼隆司

有限会社古川林業取締役

古川昌樹

株式会社深戸自動車代表

村瀬健太郎

有限会社ビーシー代表

佐藤朗

株式会社ミサト工業代表

川嶋成樹

※画像出典：https://camp-fire.jp/projects/844310/view

旧子宝温泉にて市の指定管理施設として運営されていた頃には1000万超えの指定管理料金があったにも関わらず赤字経営が続き休止した経緯があります。リニューアル後は株式会社ENKUUUは指定管理ではなく賃貸契約なので指定管理料はゼロであり修繕等費用は全て負担。さらに市が地主から借り上げている地代を年150万負担、しかも温浴施設運営は未経験といういばらの道ですね。

リニューアル後の円空の湯は施設全体の再デザイン、食堂リニューアル、サウナ新設、長良川鉄道との連携構築、既存アウトドア体験などの拠点化を目指しています。さらに施設の再生の先には、収益の一部を基金化して地域内に還元するところまで見据えています。

温泉で私が聞いた地元の人の話によると、食堂はかなり思い切ったリニューアルになってるそう。

円空の湯誕生までのストーリーはクラウドファンディングサイトにてハードルが高すぎる田舎の温浴施設再生プロジェクトに地元のオッサンたち6人が挑む！を読むとよくわかります。

谷口有威

ブロガー/デザイナー

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写真を撮るのが好きで文章を書くことが得意でした。「好きなこと×得意なこと」で趣味や暮らしの記録を残しています。