富山旅行の帰りに、岐阜県に住んで4年にして初めて白川郷に来ることができました。
世界遺産として有名な場所ですが、漫画「ひぐらしのなく頃に(原作は同人ゲーム)」のモデルとなった村でもあり、ちらほらとグッズなども販売されています。

平日の早朝だったので駐車場は空いておりまだ人もまばら。しかし午前9時くらいを過ぎると、観光客でどんどん人が増えていきました。

合掌造り集落とコスモスのコラボレーションです。春には桜、夏は新緑、そして冬の深い雪景色と、四季を通じて観光に訪れるのもよさそうです。
大小100余りの合掌造りがあり、今でも人々の生活が営まれている集落とのことですが、ここまで観光地となった場所で本当に生活しているのですかね…?
集落では「売らない、貸さない、壊さない」の三原則のもと、民家の外観と景観を保全し続けています。さらに世界遺産に登録された評価に、地域住民同士に根付いた相互扶助の精神もあるようです。なんとなく普段過ごしている社会とは、良い意味で異なる隔絶された独特の空気感があるような。









そもそも合掌造りとは、木の梁を山形に組み合わせて建てられた日本独自の建築様式です。まるで手を合わせて合掌するかのような外観から由来しています。
雪が多くて重い雪質なので建物に積りすぎないよう、この地域の環境に適した構造になっているのですね。
ちなみに集落を小高い丘から見下ろす場所までは有料のバスで向かいます。歩いて行くことも可能ですが、この日は通り雨で蒸し暑かったのでバスを利用しました。

世界遺産地区内で最大級の合掌造りで唯一の国指定重要文化財。白川郷の重要な現金収入であった焔硝の取引によって栄えた歴史があります。
現在も住居として生活されながら、1階と2階を公開しているようです。もちろん生活スペースは非公開。



合掌造りの屋根の部分を裏側から見られるのは新鮮な体験でした。
個人的にはこの建物の資料にあった焔硝についてが興味深かったです。焔硝は火縄銃に使われる黒色火薬の原料である硝石の代替品です。硝石は日本の気候条件からあまり産出されず、江戸時代の鎖国により輸入も難しくなると、焔硝の需要が高まります。
本来なら家屋の軒下で何十年もかけて生成されるものですが、白川村でこれの培養法を開発して和田家は名家となりました。しかも軍事機密だったということです。
こののどかな日本の原風景の家の軒下で、密かに軍需産業に寄与して栄えた歴史。めちゃくちゃロマンがあるなと思います。

開国した後に焔硝の需要がさっぱりなくなると、合掌造りの大きな屋根裏を活用して養蚕業が盛んになっていきました。しかしそれも生糸の需要が減って衰退していき、ダムの建設に伴って合掌造りの家屋は多くが姿を消していきます。
それでも最後にはこの建物自体が観光資源として残り続けて、なんだかんだ時代のニーズに合わせて栄えている村なんですね。

屋根に使う茅でしょうか。たくさん干してありますね。

早朝に訪れた際はまだカフェが営業していなくて、帰る頃に寄ろうとしたら逆に観光客で満席でした…。

道すがら団子を食べていきました。おいしい。
運転していくのがちょっと怖いのですが、冬のライトアップの時期にも訪れてみたいです。