#1 御書印帖50店舗巡了の旅「岐阜県の素晴らしき個人書店3店舗編」
美濃加茂市の個人書店「HUT BOOKSTORE」に訪れた際、御書印帖という対象書店にて御書印がもらえるスタンプ帖を入手しました。
御書印は有料(300円)で、その書店に訪れた証として書店員から印と一筆をもらえる企画です。人と書店を結ぶきっかけになりますね。
小学館が主催するプロジェクトで、2025年11月時点で全国647店の書店が参加しています。大型書店から町の個人書店まであり、50店舗巡った御書印を事務局へ送付すると、巡了印をもらって返送されるそうです。
本好き&スタンプラリー好きとしては挑戦せずにいられず、岐阜から出発する御書印巡りが始まります。本記事は岐阜県から東海地方を中心にスタートして、50店舗巡了を目指す連載企画の第1弾です。
御書印は対象店舗で300円支払えば捺してもらえますが、せっかくならば御書印の趣旨に則って、できる限りその書店とのご縁にちなんだ本を購入していきます。
- 必ず本を1冊以上購入する
- できればその土地や本屋に縁のある本を選ぶ
- 自分が読みたい本を選ぶ
とくに大型書店はその書店ならではの特色を抽出しにくいので、あくまでも自分が読みたい本の範囲に限ったゆるいルールでスタートします。

HUT BOOKSTORE

中山道六十九次の51番目となる太田宿に、2021年4月にオープンした新刊と古本を扱う小さな本屋。
古池弘幸建築設計事務所も営んでおり、住まいや暮らし、建築、デザインといった本を中心に取り扱っています。民藝、自然、哲学、食、絵本といった、文化的なジャンルも豊富。

大型書店では置いてなさそうな新刊があったり、古本も選書センスが素晴らしいです。とくに中央の平台は気になる本が多い新刊コーナーです。
店主はいつももの静かで聡明な雰囲気を漂わせています。ThreadsなどのSNSでは書店経営の実情などリアルなつぶやきが見られて興味深いです。

併設する奥の小部屋で不定期に展示も開催しています。
ブックイベントに積極的に参加されており、2025年にはMINOKAMO OTAJUKU BOOK PLACEを主催するなど、本と本屋の魅力を発信するため精力的に活動されています。
吉本ばななの2023年の1年間を綴った日記。作家ならではの世界観を1年間丸ごとのぞけるような本です。装丁が凝った仕様で、出版レーベルの趣旨もあって取り扱い書店が少なく希少だと思います。

2023年ノーベル文学賞受賞作家ヨン・フォッセの著書。綺麗な装丁と絵に惹かれて買いました。
一人の男の誕生と死没を静かな筆致で書き切る、地味なテーマながら壮大な物語に感じられる素晴らしい一冊でした。

- 住所:岐阜県美濃加茂市太田本町2-4-8
- 営業:12:00-19:00
- 定休:火,水,木
- 駐車場あり
本の店頭買取しています。 建築設計の仕事はInstagram(HUT BOOKSTORE&古池弘幸建築設計事務所)DMにて。

ひらく本屋 東文堂本店

多治見駅から徒歩5分のながせ商店街にある複合施設「ヒラクビル」のテナントの一つ。昔は宝石や時計などを販売するビルだった建物をリノベーションした施設です。
多治見の未来や訪れる人の可能性を拓くことを願って名づけられたヒラクビル。多治見のまちと相互に関わりながら、本とともに過ごし、学び、知り、未来をひらく、創業120年あまりの老舗本屋です。

デザイン書や暮らし・ライフスタイル、科学・知識系の本が充実している印象でした。本の数は多くないものの、ジャンルごとの選書センスが素晴らしい厳選された棚です。
隣にはカフェが併設されており、購入した本を読みながらゆったり過ごせます。

入口正面から目の前には2階に上がる豪華絢爛な階段があります。かつての宝飾店「宝石・時計・メガネのワタナベ」の名残ですかね。

2階は小説をメインとした棚で、ソファ席もあるのでじっくり本を読むことも可能。

2階の一部コーナーでは時期ごとの企画や展示が行われていおり定期的に訪れたくなります。
1つのテーマに対して4つのデザインパターンを提示するレイアウト集。デザインの引き出しを増やし、異なるデザインごとの解釈を広げてくれる一冊。

- 住所:岐阜県多治見市本町3-25ヒラクビル1F
- 営業:10:00-21:00
- 定休:水曜日
- 0572-21-5610
- 駐車場あり
※MAYパークたじみながせが2時間無料

カクカクブックス

各務原市那加商店街近くの小さな本屋。新刊と古本、貸し本棚のあるセレクトブックスです。ZINEやリトルプレスなど希少な本も並んでいます。
読書部屋には看板猫の「ちゃちゃ」がいるので猫好きの方はぜひ行ってみてください。

奥の壁際の棚は貸し本棚となっており、棚主ごとのセンスが光るバラエティ豊かな本だなです。
新刊本は社会・哲学ジャンルの本がとくに目立っていたように思います。

新刊などカクカクブックス取り扱いの本には、ほぼ全てOPPカバーがかけられています。店主は「それだけ暇ってことですね」と謙遜していましたが、本を大切する気持ちが表れています。
一部の本に店主が一読したオリジナルのメッセージ帯や、本の気になる部分に付箋もたくさん挟まれていました。新刊ですが、そこは個人書店ならではの味だと思いますね。

貸し本棚の中で個人的に気になった棚が「toour books」でした。古本にタント紙のカバーとタイトルシールを貼り、オリジナリティある売り方をされています。
画期的ですし、古本もなるべく綺麗なものを選ばれている印象でした。このアイデアが気に入ったので、村上春樹の文庫本をまとめて10冊購入していきました。

物販展示スペースが設けられています。ドリンクも購入できるので、買った本を読みながら読書部屋で過ごすのがおすすめ。
読書会をいつも土曜日に開催しているのですが、土曜の夜は私の仕事の都合でなかなか行けないので、たまにはほかの曜日にやってほしいななんて思っています。
いじめによる学生の自殺から学校中に監視カメラを設置した私立高校にて、プライバシーの侵害を理由に撤廃の声が上がった。平等とは、自由とは、異なる正義と哲学をストーリー仕立てで読めます。

- 住所:岐阜県各務原市那加南栄町23-1
- 営業:11:00-19:00
- 定休:火,水(隔週)
- 電話:090-3344-2494
- 駐車場:建物の南側と西側に2台ずつ





